知らない部屋に知らない人たち。

俺も含めてその場にいた全員が驚きで口も開けなかった。

しかし知らない奴らのうちの一人が一番最初に硬直状態から回復して、俺に声をかける。





「It is heard once again. Where did you come from?」





集まっていたベッドから立ち、一歩こちらへ進んできたそいつは鋭い目をさらに吊り上げてまた何か言う。

多分英語なんだろうけど・・・授業ではまだアルファベットと簡単な数字しか習ってない。

英語歴2週間と3日の俺にはそいつが何を聞こうとしているのかわからなくて、とりあえずこちらが話せる手段を持っていないことを伝えようとする。

こういうときは、えーと・・・?





「あー、えー・・・っと、そうだ!

 あいどんと、すぴーく、じゃぱにーず!!





・・・・・・はっ!!これじゃあ日本語話せませんだ!!!










奇異なる会遇










「違う!あいどんとすぴーくいんぐりっしゅ!!って、さっきの訂正しないと日本語も喋れないことになってる?あれ?!」





突然知らない場所に落とされて、苦手な英語で話しかけられて。

俺の小さい脳みそは許容範囲を軽くオーバーしている。

床に尻餅ついた状態でわたわたしていると、きつい口調で聞いてきたそいつが今度は哀れそうな目で見てきた。

後ろにいる3人なんか抑えることなく大笑いしてやがる!ちくしょ、必死なんだから笑うなよ!

睨みつけてやろうと見たとき、3人のうちの1人がよく知った容姿をしていることに気付く。

あちこちに跳ねた黒いくしゃくしゃな髪に、丸い眼鏡。

瞳が緑じゃなくて額に傷跡もない、ということは・・・もしかして、





「ジェームズ、ポッター?」





口から零れた名前に4人はまた驚き、そして完全に怪しいと思われたようだった。

俺に声をかけたやつはまたこっちに進んで俺の胸倉を掴む。





「いっ・・・」

「Sirius,Wait!」

「Can it wait? Such a suspicious fellow ...」




多分ジェームズとシリウスが言い合う。

その間も俺の胸倉は掴まれたままで、痛いし苦しいせいで涙が込み上げる。

と、その時部屋の扉がノックされた。

2人は言い合いを止めて、(多分)シリウスが俺を放す。

ジェームズの側にいた他の2人はベッドの上に転がっていた何かを袋につめて、枕の下に隠した。

それを確認したジェームズは扉の向こうに声をかける。

部屋に入ってきたのはひっつめ髪の背の高い女の人。

四角い眼鏡の向こうにあるきつい目は、俺を見るなり品定めするように上から下までじっくりと眺めた。

女の人はジェームズと2,3言、言葉を交わし俺に向かって手招きした。

「ついてこい」・・・ってことだよね?

この場にいても仕方ないし、今のこの状況が何なのかわかると信じて、俺は立ち上がりその人についていった。










ぺたんぺたんと石畳の廊下にスリッパの音が響く。

薄いカッターシャツと制服のズボンに靴下という軽装だった俺に女の人が出してくれたものだ。

初めはスリッパ出してくれるなら上着も欲しかったと思ったけど、魔法がかけてあるのかスリッパを履いただけで身体が温かくなった。

古い城のような校内を見ながら付いていくこと十数分、石のガーゴイルの前に到着した。

女の人が何とかチョコレート、というと、ガーゴイルは命を吹き込まれたようにとびはね場所を空けた。

そこから続く道の先には螺旋階段があって、足を乗せたらエスカレーターのように動いて上の階へと導いてくれた。

この先にいるのはきっとダンブルドアだ。

緊張と興奮で気持ちが高まってどきどきしてきた胸を感じながら、女の人に促され1人で校長室へと入った。





校長室は沢山の肖像画や道具が飾ってあった。

肖像画の中の人物は殆どの人が寝巻き姿で眠ってて、起きている数人の人は俺たちの様子を伺うようにじろじろ見てる。

一人ひとり見てみたかったけど、入った扉の真正面にいたダンブルドアが俺の側まできたのでそっちに集中する。

淡い青色をした目は細められ、優しく微笑んだダンブルドアは指輪を差し出した。

嵌めろということなんだろう、と勝手に予想して俺は指輪を受け取って嵌めた。

空色の石が付いたシンプルな指輪は元々俺のものだったようにぴったりと指に納まる。





「これで言葉がわかるかの。」

「あぁ、う・・・ん?!」

「おおちゃんと機能しとるようじゃの。

 その指輪は翻訳機の役割があるのじゃ。」

「へぇー・・・随分便利なんだな。じゃないや、なんですね。」





色々な角度から見てもただの指輪にしか見えない。

魔法ってすごいなぁ、と感動しているとダンブルドアが咳払いをした。





「それで・・・君の名前はなんと言う?」

です。。」

といのうか。

 わしはアルバス・ダンブルドアじゃ。ホグワーツ魔法魔術学校の校長をしておる。

 ・・・・・・さて、早速本題に入るのじゃが、君はこの世界の住人ではないね。」





優しい色を宿していた瞳が色を変える。

質問じゃなく、断言。





「・・・・・・そうです。どうやってきたとか、何できたのかは俺にはわからないんですけど、この世界の人間じゃないことは言えます。

 ダンブルドア、先生は俺がここに来たわけとか知ってるんですか?」

「知っている事と知らぬ事がある。君の問い全てには答えられないじゃろうが、ここに来たわけは話せるじゃろう。

 少し話しが長くなるかもしれぬ。年寄りに立ち話は辛いから、椅子にでも座ろうかの。」





ダンブルドアが杖を振うと椅子が2つ、テーブルとお茶のセットが1つずつ宙から出て床に着地した。

お茶は入れたてのようで湯気が立っている。

俺とダンブルドアは椅子に腰掛け、お茶を一口飲んでから話に入った。





「君の世界には魔法や魔術といったものはないのじゃろう?」

「はい。なんで分かるんですか?」

「・・・この世界の魔法階には時々、魔力を持った子供が突然宙から現れる。

 君のように。」

「俺のように・・・ってことは、俺」





察しが良いの。

ダンブルドアは優しく言い、同じ口で俺に大変なことを告げた。





、君は魔法使いじゃ。

 それもとびきり強い魔力を持った、の」