が去った後のグリフィンドー寮の一室。

枕の下に隠した悪戯道具を取り出しながらジェームズは息をつく。




「何だったんだろうね、あの子。」

「知るかよ・・・。」





宙から現れた少年の事を思い出し、シリウスは舌打ちをした。

彼を見てから不快感のような、もやもやした気分が重く圧し掛かっている。

シリウスはよくわからない感情を流す術が分からず、少年の胸倉を掴んだ手を強く握り締めた。










示された道と理由(わけ)










ダンブルドアの口から出た言葉は、突然の出来事に追いつこうとしていた思考を完全に止めた。

温かいカップを持ってフリーズした俺をよそに、ダンブルドアは紅茶を優雅一口飲む。





「・・・え、と、魔力持ってるって、俺が魔法使い・・・ってことですか?」

「君は察しがいいの。其の通りじゃ。

 さらにいえば君の魔力はヴォルデモート・・・今一番怖れられている魔法使いより強い。」





言われたことを何度か頭で反復し、やっと追いついたところで驚きの声をあげた。

だってヴォルデモートより強いって!魔法とか一回も使ったことないのに?!

パニックを起こしかけた、いや起こしてる俺にダンブルドアは優しく微笑み落ち着くように促す。





。君がこの世界に導かれた理由が以前現れた異世界の子供と同じならば、その強大すぎる魔力を抑える術を学ばせるためじゃろう。

 魔法の無い世界で魔力が暴走することがあれば、その世界に大きな災害として影響がでるのじゃ。」





告げられたことの大きさに寒気が走る。

そんなことが、俺のせいで起こるかもしれなかったんだ。





「そんなに怖がらずとも、これから正しい使い方を学んでいけばいいのじゃ。そのために君はこの世界に来た。

 しかし・・・この世界でも、君の魔力は強大すぎる。

 そこで君に魔力を抑えるための呪いをかけようと思うのじゃが、いいかの?」

「・・・それをかけなければ、この世界を危険にあわせるかもしれないんですよね。」

「そうじゃ。」

「じゃあ、お願いします。」





頭を下げると問題に正解した子供を褒めるように、ダンブルドアの掌が頭を撫でる。

老人の手らしく骨ばっていた手から安心が流れこんでくるようだ

自分のものなのに全く分からない力に恐怖していた心が温まっていく。

2,3往復して手は離れていき、代わりに冷たい棒をあてがわれる。

ダンブルドアがぶつぶつ言うのが聞こえて、もう呪いをかけているんだとわかった。

杖が当たった場所から肩、腹、足と下へ、そしてまた上がってくる奇妙な感覚がくすぐったくて身を震わせる。

それは首に集まり、ちくりと痛んだかと思うと直ぐ消えた。





「これで終わりじゃが、見えるところに痕が付いてしまったの。」

「痕?」





指差された鏡を覗くと、丁度喉の辺りに文字のような模様があった。

魔法使いが見れば何かわかるから隠したほうがいいじゃろ。ダンブルドアが杖を一振りして俺の首に包帯を巻いた。

次は寮を決めよう、と言い杖を振って大きな棚の上からぼろぼろの三角帽子を俺の頭まで持ってくる。

途端にうーん・・・と頭に響く低い声。

組み分け帽子は凄く困っているようだから、どうしたの?と声をかけてみた。





「(うーむ・・・これはまた、難しい子が来たものだ・・・

 何処の寮に行っても、よい経験が出来る。難しい・・・実に難しい。)」

「(何処に行ってもいいなら、一番楽しそうなところがいいなぁ。そういうのってわかる?)」

「(わかるが・・・それでいいんだな?)」

「(うん。)」





帽子から見えないだろうけど、俺は笑って応えた。

そして叫ばれた寮は「グリフィンドール」

よっしゃ!とガッツポーズをとって、帽子をダンブルドアに渡した。

ダンブルドアはニコニコと笑いながら俺にお祝いを言ってくれる。





「おめでとう。これで君もホグワーツの生徒じゃ。

 さて、マクゴナガル先生と話さねばならぬことがあるから、少しの間外で待っててもらえるかの?」

「わかりました。」





ダンブルドアに一礼して、入ってきた扉から外にでる。

そのときさっきの女の人とすれ違った。

今入ってくってことは・・・まさかあれがマクゴナガル先生?!

若い・・・と驚きながら扉が閉まるまで、その後ろ姿を眺めていた。










「ダンブルドア、よいのですか?

 子供とは言え素性もわからない、突然現れた子供をホグワーツに入学させても。」





扉が完全に閉まったのを確認して、マクゴナガルは言った。

ダンブルドアも先ほどまでレンに見せていた笑顔を消し、真剣な顔でマクゴナガルに話す。





「わしはの、ホグワーツに入る資格があるものは喜んで招き入れることにしておる。

 それが人狼でも、ヴォルデモートの元に行く者だとしても。」





『ヴォルデモート』という言葉にマクゴナガルはギクリ、と身体を強張らせる。

しかしダンブルドアはそれを無視して話し続けた。





「彼は素性こそ知れぬが、この世界に導いたものがその身を保障してくれておる。

 それでも心配というならば、わしたちが見ていてやればいいだけのことじゃ。

 が間違った道に進まぬようにの。」





マクゴナガルはまだ心配そうな表情をしていたが、ダンブルドアの強い押しに諦めた。





「それで、わざわざわたしをお呼びになったのは何か話しがあるからでしょう?」

「マクゴナガル先生も察しがよくて助かるの。」





ダンブルドアは子供のように青い瞳をキラキラと輝かせ、マクゴナガルに『お願い』を話した。