「転入生?この時期に・・・?」

「(やっぱり突っ込まれるよなー・・・)」

「ええ。」





ぴしゃりと有無を言わせないマクゴナガル先生の言葉にジェームズはまだ何か言いたげだったが口を紡ぐ。

今は新年度の授業が始まって2週間、9月の半ばごろだ。

ジェームズがつっこんだ通り、やっと新しい授業に慣れ始めた頃に転入することは不思議だろう。





「彼は急にホグワーツに転入することが決まりました。

 ですので転入に必要な道具は何一つ準備できていません。

 そこで・・・・・・私は反対なのですが、ダンブルドアがどうしてもとおっしゃるので・・・仕方なく・・・」





マクゴナガル先生はため息をつき、あの人の考えることにはいつも・・・と諦めたように切り出した。





「週末の課題を失くすということを条件に、明日明後日彼をダイアゴン横丁に連れて行き、教科書その他所道具をそろえる手伝いをしてあげなさい。

 これはダンブルドアがお決めになったことです。」

「・・・・・・はっ!?」





予想していなかった言葉に固まる子供達の中で一番最初に理解したのは俺だった。










おいでませダイアゴン横丁〜準備編〜










「へぶっ!!」





グルグルと回っていた世界から急に放り出され、気が付いたら灰がついた暖炉を転がり出ていた。






「立てる?」

「うん・・・ありがとリーマス。」





顔面から転がり倒れた俺を見てジェームズは笑いを堪えていた。

リーマスみたいに心配して手差し伸べてくれてもいいじゃんか・・・

立ち上がって煤を払いながら周りを見ると、そこは薄暗いパブ『漏れ鍋』の一角だった。





「随分と派手に落ちたね。大丈夫かい?」





笑いがおさまったジェームズは俺の手が届かない背中の煤を払いながら聞いた。

正直に言うと絶対笑われるだろうけど・・・本当に痛かったので素直に言う。





「・・・・・・・・・鼻打った・・・」

「ぶっ!!!」





・・・・・・・・・やっぱり言うんじゃなかった・・・










あのあとは夜も遅いということで(時計を見たら0時近くだった)、簡単な自己紹介を済ませて終わった。

俺にあてがわれた部屋はグリフィンドール寮の最上階の一人部屋だった。

階段の昇りが辛いのが難点だけど、元いた世界で使っていた自室より広い部屋なのは嬉しい。

使っていなかったと言っていたけど布団はふかふかで、用意されたパジャマに着替え温かい布団に潜った。

意外と疲れていたらしく落ちるように眠りにつき、夢を見ることなく目が覚めた。

ほんの数時間前のことを思い出していると腕を掴まれる。





「さぁさぁ、そんな所で突っ立ってないで、早くダイアゴン横丁へ行こうじゃないか!」





返事を聞かずジェームズにぐいぐいひっぱられ、薄暗い酒場を早足で通り過ぎる。

もう少しゆっくり眺めていきたかったのに、漏れ鍋・・・

名残惜しく通った場所を見つめていたけど、中庭に出てレンガで出来た行き止まりに着くと直ぐにそちらに感心が移った。

俺のその様子にジェームズはニヤリと笑う。

そして間違えることなくぎっしりとレンガが詰まった壁の中から1つ選び、杖で3回叩いた。

生き物のように動き出す壁。カラカラと鳴る音は鳴き声のようだ。





「ようこそ、ここが魔法使いの商店街。ダイアゴン横丁だ。」





カラン、と音を立て完成したレンガのアーチ。

足元から伸びた石畳の道と隙間無く並んだ店の数に、俺の口はぽかりと開いた。

ジェームズは俺の反応に満足したように頷き杖を片付ける。





「うんうん。腰を抜かしてしまうと予想していたのが外れてしまったのは残念だが、これはこれでいい反応だね。」





本で何が起こるか知ってたからね。知らなかったら腰抜かしてたよ、きっと。

言いたかった言葉はぐっと飲み込んで、「期待に添えられなくて悪かったな」と舌を出して応えた。




「では、全員で行動しても時間が掛かるだけだし、本人がいなければいけない物とそうでない物を買う係りで別行動しようか。

 せっかく長期休暇意外にホグワーツから出たんだ。楽しまなくては損だからね!」

「そうだね。教材買うだけでダイアゴン横丁のよさをに知ってもらえないのは残念だし。」

「ぼくゾンコのダイアゴン横丁支店にいきたいなぁ。夏休みに糞爆弾とヒューヒュー飛行虫の補充忘れちゃってたんだ・・・」

「そうと決まれば組み分けだ。マグル方式でいいかい?」





返事を待たず袋と5つの包みをポケットから出す。

包みは赤2つに青3つ。中身は漂ってきた香りからチョコレートだろう。

ジェームズは袋にそれらを入れ何度か振る。くじ引きの完成だ。

俺、リーマス、ピーター、シリウスの順番で取っていく。

結果は俺・リーマス・シリウスとジェームズ・ピーターで分かれた。

何だかギクシャクしているシリウスと二人っきりじゃなくて、胸をなでおろす。

俺からは何にもしてないはず・・・なのに、何でだろう・・・?





「今は丁度10時半か。12時くらいにまたここに集まるってことで、解散!」





殆ど一本道なのに解散も何もあるのか。

心の中でつっこみつつ、別れ行動し始めた。