幾分か前、突然起こった予想外の出来事。

今でも夏の突き抜けるような青空を見上げるたびに鮮明に思い出されるそれ。

俺の人生はあの時大きく変わった。










青天の霹靂










真っ青な空の下、休憩を知らせる笛の音が響いた。

それぞれ練習していた部員が一斉に日影に向かう。

俺も日影に置いたクーラーボックスの中に入っていたスポーツドリンクを飲んだ。

氷水の中に入れてあったそれは冷えていて、カキ氷を食べたときのように耳鳴りがした。





ー、そんな一気にがぶ飲みすると腹壊すぞー!」

「このくらいで壊すか!」





小学校からの付き合いの春幸とくだらないやりとりをし、再びスポーツドリンクを飲む。

飲み物は身体を冷やしてくれたけど、熱は一瞬で戻ってきた。

もう一度口をつけてスポーツドリンクを飲む。けどこれ以上飲むと本当に腹壊しそうだし・・・あ、そうだ。





「ちょっと水のみ場で水かぶってくるなー。」

「腹壊してトイレだろ。」

「違うばーか!!」





軽口の応酬をして、その場を離れる。

グラウンドを見ると野球部が片付けを始めていた。

この炎天下の中部活を続けるのはうちの陸上部だけみたいだ。

羨ましいなぁ・・・なんて思っていたら水飲み場についていた。ここにも誰もいない。

遠慮なしに水使えるから俺にとっては都合いいんだけど。

水道についたままのホースを手に取り、コックを捻って水を出す。

頭からそれをかぶったら一気に体が冷えた。

風も出てきて涼しさが増す。





(これで日影だったらなぁ・・・)




日が当たってるからジリジリと肌が焼かれて暑い。

それでも感じる僅かな涼を堪能していると休憩終了の笛が鳴った。

体の負担になるから気合を入れすぎるなって言ってたコーチが気合入り過ぎてどうするんだ。

陸上一本の熱血コーチに突っ込みを入れるのはいつの間にか俺の役目になっている。

早く戻って突っ込みを入れないと暑さにイライラしている部員達と喧嘩になる。

大会前に部内の雰囲気が悪くなるのだけは避けたい。

手に持っていたホースを投げ捨てて戻ろうと一歩踏み出した。ぐらりと世界が斜めに歪み同時に襲う吐き気と頭痛。

朝見たニュースで「今日は熱中症になりやすい天気だ」と言っていたのを思い出しながら、俺は自身が倒れていくのを感じた。




















身震いするほどの寒さに目が覚める。

目がくらむほどの眩しい夏の日差しはなく、青暗い世界が広がっていた。いたるところに水晶のような青い結晶も浮いている。

俺はその中で浮いているみたいだ。足が地面についている感覚がない。

夢・・・・・・みたいだけど、目覚めたときから感じている寒さは現実的だ。

想像もしていなかった事態に血の気が引いていくのがわかる。





『おい』





深い絶望に襲われていると、後ろから声をかけられた。

振り返ると青い体の巨大なドラゴン・・・?のような生物がいた。

その姿に何て言えばいいか分からず突っ立っていると、獣の赤い瞳が俺を睨める。





『ヒト、時の神・ディアルガの空間に何の用だ。』