「!見ろよ、やっとクリアしたんだ〜」
「DS?何のゲーム・・・ってポケモンか。」
「あれ、反応薄いな〜。お前も好きだっただろ?初代から持ってるじゃん。」
「あー・・・うんちょっとな・・・で、何見ればいいんだ?」
「そうそう、これ!俺こいつ目当てで買ったんだよ〜」
春幸の持つ白い機械の中を覗くとステータス画面だった。
表示されたモンスターは青いドラゴンのような生き物。
そう、今目の前にいるような・・・
山の芋 鰻になる
巨大な生物を前に走馬灯のように記憶が頭の中を流れていく。
青く大きな体と四肢に、赤い獣の瞳。
ディアルガと名乗ったのは、春幸のゲームでみたポケモンそのものだった。
『・・・ヒト、お前この時の匂いがしない・・・?
何処から来た。』
ディアルガは首をかしげ、大きな頭を俺に寄せる。
すると胸の部分にあるダイヤのような宝石が輝きだした。
光はすぐに収まってディアルガの頭も遠ざかった。
『異世界の時と歪んだ時空の匂い・・・我らの争いのせいか・・・』
「へ?何、どういうことなんだ?」
ディアルガは納得したように頷き自己完結する。俺にはワケがわからない。
応えを求めるとディアルガは暫く考え、膝を折り身体を伏せた。
話が長くなりそうだから俺もその場に座る。(地面はないんだけど)
『・・・1年ほど前、交わることのないはずの時と空間の世界が交わった。
時を司る我と、空間を司るもう一体の魔獣。我等は互いに相手が己の世界を侵略しようとしているのだと思い、争った。
その争いはヒトの世界も巻き込み、街を一つ異次元空間の中へ消し去ってしまうところだった。
ここからは恐らくの話だが、出会わぬ筈の世界が出会い、強大な時と空間の力がぶつかった為時空に歪みが生じたのだろう。
時空の歪みはお前の生きていた世界まで届き、その歪みが生じた場所にお前が居た。』
「・・・・・・つまりここは俺にとって異世界ってことか・・・・・・・・・?」
『そのようだな。』
さらりと返された応えに顔が引きつる。
頭の中も真っ白になりそうだったけどなんとか持ちこたえた。
「マジ、かよ・・・・・・あ、じ、じゃあ、その歪みにもう一回行けば俺がいた世界にいけるってことだよな?」
『察しが良いな。しかし残念だが、其の歪みはお前が通ってきた直後に消えてしまった。
更に付け加えるならば、お前はこの時の世界では異物。このまま留まれば時によって消滅するだろう。』
「消滅っ、て・・・・・・そんな・・・」
状況に付いていけなかった頭から絞り出した解決策を打ち砕かれ、追い討ちを掛けられる。
今度こそ頭の中が真っ白になった。
いきなりこんな目にあって、消滅するって言われて、落ち着いてなんていられない。
自然と涙が零れ落ちた。
『・・・・・・ヒト、この事態は我に責任がある。我がお前を守り、無事元の世界に帰る策を見つけよう。
その間お前の身は我が時を刻む世界に置かせる。
我と心を通ずることが出来るヒトの元ならば、生活の保障をしてくるだろう。
だから泣くな。』
俺の身体ほどあるだろうか。大きな頭が擦り寄る。
間近で見る瞳は大きく鋭いものでちょっと怖かったけど、赤い色の瞳は心配そうに俺を見たのがわかった。
慰めてくれているんだろう。擦り寄った力が強く少し痛かったけど、ディアルガのその気持ちが嬉しくて口元が緩んだ。
『ではヒトの世界へ向かおう。我の身体に掴まれ。』
「うん」
俺は膝を折り曲げているディアルガによじ登り、長い首を抱き締めるように掴んだ。
しっかり掴まっているのを確認したディアルガはゆっくり立ち上がる。
『ヒト・・・名はなんと謂う?』
「」
『そうか。、手を離すな。』
咆哮。
耳を塞ぎたくなるほどの大きな声はディアルガの前にある空間を歪ませ、大きな穴を開けた。
穴の向こうは青空が広がっている。
大きな四肢は地面の無い空間を蹴りつけ、穴の向こう側へと駆けた。