巨大な力がぶつかり合う戦い。

白いポケモンが攻撃を仕掛ければディアを含めた3体が対抗し、防ぐ。

ディアたちが攻撃する。攻撃は白いポケモンに当たった、かのように見えた。

エネルギー波は白いポケモンの前で何かに吸い込まれるように消失。

攻撃が当たらない上に、3体で対抗しても防ぎきれないエネルギー波。

ディアたちが劣勢なのは一目瞭然だった。










合縁奇縁










白いポケモンの攻撃は数が多く3体では防ぎきれない。町や神殿が破壊されていく。

俺が駆け上がっている神殿の階段も所々崩れているが、まだ足場には足りていた。

呻き声があがる。白いポケモンに電撃が当たっていた。

神殿の祭壇跡への入り口。そこに黄色いポケモンと赤い帽子をかぶった少年がいた。

ディアたちの攻撃を無効化するようなポケモンにピカチュウの電撃は効いている。

どういう理屈か分からないけど、攻撃が中断されている間に駆け上った。





?!」

「ケビンさん、これって一体・・・」

「・・・・・・アルセウスが、人間を滅ぼそうとしているのです。」





シーナが苦しげに呟いた。

この町の言い伝えを聞いていた俺はそれだけで理解した。これはアルセウスの裏切った人間達への裁きなのだ。

アルセウスが技を繰り出す。ディアが相殺しようとするも、相手の力が強すぎて放った技ごと吹き飛ばされた。





「ディアっ!!」

、危ないッ!!!」





ケビンが止めようと俺の腕に手を伸ばす。

だけど俺の足の方が速かった。ケビンの手は空を掴み、俺は近くに墜ちたディアの元へ駆け寄った。

ディアの身体はもう立ち上がれそうにないほど傷ついていた。

ぐったりと倒れているディアの顔の傍まで行き、触れる。





「ディア、しっかりしろ・・・」

『・・・・・・何故ここに居る。逃げろといっただろう・・・』

「お前が変なニュアンスを汲むようなこというからだろ。置いて逃げれるか。

 戦うことは出来ない。邪魔になるだけかもしれないけど、一緒いさせろ。」

『・・・のそのような所、嫌いではないな』





苦しげだが、笑いが混じる。

ディアは首だけ起こし、シーナやサトシたちに向かい声を上げる。

シーナたちにはディアの鳴き声にしか聞こえないみたいだけど、俺にはわかった。





『ヒトよ、我等の力であの者を止めることはできん。

 我の力で送った過去の世界で、未来を変えてくれ。』





ディアの身体の模様が光り、シーナたちを何かが囲む。

シーナたちが光ったと思うと一瞬で姿が消えてしまった。

見届けるとディアは力を使いすぎたのか、また倒れた。もう喋る気力もないらしい。俺の声に応えない。

暗く澱んだ空ではアルセウスと2体のポケモンが戦っていた。










どれくらい経っただろう。ディアの身体の模様は時折光るが、目を覚ます気配はない。

戦いは神殿からアルセウスを遠ざけ、ディアの邪魔をさせないようにするだけで精一杯というところだ。

動かないディアの身体に寄り添いながら俺は最悪の結果を想像してしまう。

もしもディアがこのまま目を覚まさず、死んでしまったら・・・

激しい悲しみが胸を掻き毟る。考えたくなくても、いつもより冷たいディアの身体に触れれば有り得ないものではないと思ってしまう。





「(辛い・・・でもなんでこんなに?)」





ディアのことは大切だ。いつも心配してくれて、俺が危なかったときは助けてくれた。

その大切は、春幸やカンタやカコ、家族たちとは違う大切だと気付き、今までのさいなまれるような感情の理由がすんなりわかった。





「(好きだ、ディアのことが・・・・・・好きなんだ)」





奇妙な恋心。ポケモンに恋するなんて。

不思議な縁もあるものだ。気付かなかった埋もれていた気持ちが芽吹く。





「ディア、応えてほしいことがあるんだ・・・だから頑張れ。」





ただ寄り添うだけだった身体を力強く抱き締める。ディアは何て応えるだろうか。

ディアの身体の模様がまた光った。祭壇の入り口の石畳の上にシーナたちが戻ってきたんだ。

先ほどと変わらない光景。いや、先程よりも悪化している状況。

過去に行っても変わらなかった未来に、シーナたちが嘆声を漏らす。

でもディアの身体は徐徐に温もりを戻している。変わったんだ、未来が。

その証拠に破壊された町や神殿が光を帯びて修復されていく。

アルセウスも正気を取り戻したようで、攻撃をやめた。





『・・・・・・成功、したようだな。』

「うん・・・ディア、大丈夫か?」

『あぁ。過去が変わり、この戦い自体なかったことにされたようだな。』





ディアの傷が治っていく。アルセウスが人間に裁きを下す必要がない過去に変わり、この争いが起こるという未来が消滅したらしい。

元気になったことを見せるためか、ディアは立ち上がり空にいる他の2体のポケモンの元に行った。

俺もシーナたちの元に行き、この事態が綺麗に収まったことを一緒に喜んだ。